売却が難しい土地とは?
土地・建物を売りに出しているのになかなか売れない、と悩む方は少なくありません。田舎の土地を親から相続したものの、有効活用する手段がなくて困っている、という話もよく聞くようになりました。不動産は所有しているだけでも固定資産税や維持費がかかりますから、まずは売れない理由を明らかにすること。そして、なるべく早く売れるような手立てを講じることです。そこで今回は、売りたくてもなかなか売るのが難しい土地の具体的な特徴を見ていきましょう。
不整形地
建物のある土地は、正方形あるいは長方形の方形であることが一般的。ところが、土地のなかには、近隣の敷地形状に合わせて三角形やL字型になっていたり、山の斜面に沿って傾いているものも少なくありません。こうした方形ではない土地は税法上「不整形地」と呼ばれます。
建物が建てづらく収益性が下がりがちな不整形地は、買い手がつくまでに時間がかかることから、価格は相場に比べて低くなります。そのため、不整形地への課税額を優遇し、整形地とのあいだで公平化を図る措置が取られています。
がけ地や急傾斜地
「がけ」というと、隣の土地との間が断崖絶壁のように区切られているようなイメージがあるかもしれません。そして、そのような土地の売買は特別の事例、と思ってしまうかも。しかし、ここでいう「がけ」とは、一定の傾斜等がある土地のこと。街のなかでも自然にある土地を指します。
がけ地や急傾斜地には、がけ崩れや地滑りなどによる土砂の流出から人命や財産を守るため、さまざまな法規制が存在します。また、宅地の中に傾斜している部分があり、なんらかの手を加えないと宅地として普通に使用できない場合、平坦な土地に比べて利用価値が劣るため、価格は相場に比べて低くなります。
前面道路の幅が狭い
家を建てる場合、建築基準法によるさまざまな制約があり、好きな場所に自由に建てられるわけではありません。その制約のひとつが「接道義務」です。都市計画区域内で建物を建てる場合、原則として、幅員(幅)4m以上の道路に2m以上接した土地である必要があります(一部区域では幅員6m以上が必要)。これは、火災や地震などの災害が起きたときの避難経路や、消防車や救急車が通れる経路を確保する目的があるからです。
こうした制約のなかったころに建てられた古い家を解体して更地にすると、今の建築基準法が適用されるため、新たに家を建てられなくなることがあります。このような土地は売却の難易度が高く、価格は相場より大幅に低くなる傾向です。
一方、接している道路の幅員(幅)が4m未満の土地はすべて家が建てられない、というわけではありません。古くからの住宅地などでは、4mよりも幅の狭い道路が多く存在します。先祖代々の土地に建っている古い実家を建て替えよう、という場合、幅員4m未満の道路に接しているケースは少なくありません。
そこで、例外として設けられたのが「敷地のセットバック」です。これは、土地が接している道路の中心線から2mの位置まで後退(セットバック)した線まで建物を建てずに空けておくことを言います。実際に活用できる敷地面積が減るなどデメリットがあるため、価格は相場に比べて低くなります。
市街化調整区域内の土地
市街化調整区域とは、無秩序な都市化の広がりを抑制する目的で定められたエリアのこと。そのため、市街化が大幅に制限されます。決して珍しいエリアではなく、例えば、神奈川県では、都市計画区域20万ヘクタールのうち、市街化調整区域は約8万ヘクタールと4割に達する広さです。
市街化調整区域では、すべての開発行為に対し都道府県知事による開発許可が必要で、建物の建築が原則として認められません。昔からの住居や店舗がすでに建てられている場合は再建築が認められますが、開発許可申請は必要です(リフォームも同様)。このような規制やハンディの多い土地は、土地取引で嫌われるため、不動産会社にも敬遠されます。一方で調整区域を専門とする業者も存在するので、売却に向けて探してみるのも選択肢の1つです。
極端に広い、または狭い土地
個人が土地の購入を検討するとき、あまりに広い土地は敬遠されます。標準的な広さとしては、戸建の敷地の場合30~80坪程度が一般的。そのため、100坪以上の土地は買主にとって広すぎるため、購入の検討リストになかなか入らないわけです。また、一戸建ての住まいが建てられないほどの狭い土地、いわゆる「狭小地」も、購入しても売るときに苦労するため、やはり敬遠されるケースが多いようです。
周辺環境に問題がある土地
売却したい住まい自体、土地自体には特に問題がなくても、近隣にいわゆる「ゴミ屋敷」や、老朽化した空き家などがあると、犯罪の温床になりやすいため、敬遠されがちです。また、近隣に風俗店やパチンコ店、公営ギャンブルなど、住環境の品格を下げるような店舗・施設や、葬儀場・火葬場、ゴミ処理施設、下水処理場などは嫌悪される傾向が強いため、マイナス要因となることがあります。
まとめ
売るのが難しい土地でも、対策を講じれば売れる可能性は高まります。また、万が一売れない場合でも、寄付や贈与といった形で土地を手放すことができる可能性もあります。「売るのが難しそう」「なかなか売れない」といってあきらめてしまうことはありません。専門家の力を借りれば、売れない土地の処分や活用の方法がきっと見つかるはず。不動産会社などの専門家に相談して早めに対処することをお勧めします。
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